「骨粗相症」の造形品2016/08/05 23:40


吐出不良の造形品
                   吐出不良の造形品


 デアゴスティーニの組立式3Dプリンタ「id-box!」を組み立て、プリントを始めて4ヶ月が経とうとしている。当初積層ずれや形状不良、ガントリー部からの異音で苦しんだが、タイミングベルトのテンション調整や、ガントリーロッドの位置調整などを行った結果、かなり安定して造形できるようになってきた。

 ところがここの所、吐出不良による造形ミスが目立つようになってきた。上の写真は妻に頼まれて作ったスマホスタンドだが、底面がスカスカの「骨粗相症」状態になっている。

 この状態は夏になって室温が高くなってから発生するようになり、しかもVerbatimのフィラメントを使っている時に顕著に・・・というか、ほぼその時に限って発生する。上の写真でも分かるように最初は普通通りに造形できているのだが、途中から吐出量が減り、スカスカの状態になってくる。

                上の方がスカスカの骨粗相症状態


 ノズルやバレル部の清掃をすると改善はされるが、正常に造形される時間(というかレイヤ)が多くなるだけで、最後の方のレイヤは結局スカスカになってしまう。最初は上手く造形できていることからノズルが詰まっているわけではなく、造形を続けているうちにそういう状態になってしまうようである。

 何が起こっているのかを確かめるべく、造形中の様子を見ていた。すると、スカスカ状態になっている時extruder からカチッ、カチッと音が鳴り出し、上手くフィラメントが送り出せていないことが分かった。また、その状態で動作を止め、フィラメントを引き抜いてみると、ヒートブロックの上にあるバレル部でフィラメントが溶けており、バレル上部でフィラメントが膨らんでいることが分かった。どうやらヒートブロックの熱がバレル部に伝わり、そこでフィラメントが熱膨張することによってフィラメントを送る際の抵抗が大きくなり、その結果吐出量が減ってしまっているようである。

 となると、抜本的な対策はバレル部の放熱である。バレル部には4cm角のFANが付いており、空冷する仕様になっている。そのFANを交換すれば・・・と先ずは考えたのだが、現状のFANの風量は4.81CFMと結構大きい。まぁ現状のFANは騒音が大きいので交換するつもりではいるが、「風量は大きく、騒音は小さく」というのは二律背反である。その他いくつか手を考えたが、いずれも時間がかかりそうである。とりあえず妻のリクエストに答えて「ああ見えて結構役に立つもの」という印象を与えておくことも今後のために重要である。そう考え、対症療法的な対策をとることにした。

 その対策とは「摩擦抵抗の低減」である。フィラメントに潤滑剤を塗布し、押出しの際の摩擦抵抗を減らすことで吐出量を確保しようという算段である。

 出来ることならextruder とガントリーブロックの間で潤滑剤を塗布できれば良いのだが、それは結構難しそうである。そこでextruder の直前で塗布することを考えた。

・・・というわけで、対策と結果は出来次第投稿したい。

                       スカスカ