イタリアの時刻表2012/11/05 12:17

イタリアの電車の時刻表
                 イタリアの時刻表(出発)


 電車を利用して行動するには時刻表を確認することが必須の作業となるが、これがなかなか変わっていた。日本だと、上りと下りで時刻表が分かれているが、イタリアの場合、出発と到着で時刻表がわかれていた。

 上の写真であるが、これは「出発」の時刻表である。つまり一番左に書いてある時刻が、当駅(この写真の場合リッチョーネ駅)を出発する時間を表している。そして、右側の青字の白抜き文字が、到着するプラットフォーム番号を表している。1番線が登リで2番線が下りだとすると(多分合っていると思うが)、登リも下りも同じ時刻表の中に書かれている。

 つまり、上の写真の一番上に書かれている電車は

 7:09リッチョーネ発(始発という意味ではない) Ancona Marittima 行き。2番線に到着、Cattolica-S.G.-G 7:16着

で、(多分)下り線。2番目に書かれている電車は

 7:13リッチョーネ発(始発という意味ではない) リミニ 行き。1番線に到着、リミニ到着 7:25

の上り線という事になる。


 時刻表にはもう一種類ある。それが「到着」の時刻表である。下の写真の一番上の電車は

 8:52 Piacenza 始発、12:12リッチョーネ2番線到着(最終目的地は不明)。リミニ発は12:03

の下り線という事になる。



                                        イタリアの時刻表(到着)


 予備知識が全くなかったので、最初はかなり戸惑った。・・・というか、意味が分からなかった。結構時間をかけて時刻表のの内容を吟味し、ようやく上記の解釈に至った次第である。

 結構複雑というか、分かりにくいと思えるが、まあ慣れてくればそれほど戸惑うこともないかもしれないし、帰りの予定を立てるにはこの時刻表のスタイルの方がかえって見やすいかもしれない。


 ・・・とはっても、これが役に立つのは「電車が時刻表通りに運行」された時である。シュッペロ(ストライキ)などは日常茶飯事で、時刻表などあってないようなもの・・・と、私の回りの前評判は全く芳しくなかったのだが、全くそんなことはなかった。時刻表通りに正確にやってきて、性格に目的地についた。帰りも又しかり。日本の鉄道と全く遜色ない正確さであった。

 ・・・火曜日までは。水曜日、私は会議のため一日会場にこもっていたが、この日観光に出かけた人の話では、何のアナウンスもなく、朝は30分、夕方は1時間以上遅れていたらしい。そして木曜日。私自身もそれを体験することになった。


 ・・・続きはまた後で。









イタリアの電車2012/11/05 17:44

 イタリアの電車の時刻表は日本のそれとは違う形式で表されている。そのため最初はちょっとまごついたが、3回も電車を利用するとだんだん慣れてくる。「イタリアの電車は時刻表通りに来ない」という前評判もなんのその。2日続けて正確な運行を体験すると「さすがはヨーロッパの先進国。言われてるほどひどくないじゃん」とすっかり信用する気になった。それが「油断」だったのかもしれない。

 出張も後半に入り、そぞろ歩きが出来るのも最後という木曜日、午後からは出席しなければならない会議があるため、午前中だけとなり町のリミニに行く事にした。時刻表を見て行きと帰りに電車を確認。切符を買おうと係員のところへ向かった。すると何やら大きなイタリア語で聞き返してくる。当方何を言われているのかさっぱり分からず、とにかく「リミニ」を何度か繰り返した。すると相手も「リミニ」を何度か繰り返す。雰囲気的には「本当にリミニに行きたいのか?」と聞いている感じである。まあとにかくリミニと言っている。というわけで「Yes」と答えると、なんだかこれまでとは違う切符らしきものを出し始めたではないか。

 どうも様子がおかしい。ひょっとして時刻表を見間違えたのだろうか?ちょっと心配になり「Sorry, I'll buy it later.」とその場を後にした(駅員さんには悪いことをしたが、ここは旅の恥はかき捨てである)。

 改めて時刻表を確認したが、やはり15分後に来る電車がある。やっぱり間違っていない。よし、今度は電車の時刻を言って見よう。すぐに切符を買いに戻るのは少しきまり悪いが、旅の恥はかき捨てである。

 再び「リミニ」言ってみる。何か言われたら電車の時刻を言おうと思っていたのだが、なんと今度はあっさりと切符を買うことが出来た。1ユーロ20セント。これまでと同じ切符である。何なんだ?わけがわからない。

 まあいいさ、とにかく切符を買うことが出来た。駅に入り、電車を待つ。すぐに来るはずである。・・・・が、来ない。待てども来ない。10分が過ぎても来ない。アナウンスもない(まああったとしても理解できないが)。どういうことだ?少し退屈になってきたのでホームを歩いてみると、電車の運行状況を表示しているらしいモニターがあるのに気がついた。

 ・・・しかし、私が乗るはずの電車の便名と時間はモニターの最上部にある。発車予定時刻も15分前の時刻がそのまま表示されている。何事もないかのように・・・。

 結局、30分後に電車はやってきた。特に変わった様子もなく、何事もなかったかのように電車は発車した。

 リミニの街を回り、帰路についた。不安だったので、早めにそぞろ歩きを切り上げ、リミニの駅についた。切符を買うとあっさりと買えた。ホームで電車を待つ。・・・来ない。電車は来ない。表示もない。放送もない。まあ放送されても分かりはしないが、なにか放送されていれば「何か会ったんだな」と分かるがそれすら無い。

 まあ切符は買えたんだし、会議までには未だ時間はある。ホームのベンチに座り、ゆっくりと電車を待ってみた。

 すると、1時間ほど遅れて電車がやってきた。何事もなかったかのように。乗客も結構多かったが、文句を言っているような感じの人は一人もイなかった。本当に「何事もない」かのような雰囲気である。

 リッチョーネ駅とリミニ駅の間には無人駅のような小さな駅がある。これまで乗った電車はすべてこの駅を通過していたが、この電車はその駅に止まった。数人の乗客が乗り込んできたのだが、彼らにも特に変わった様子はない。1時間遅れで出発・・・と思いきや、電車はなかなか出発しない。どうしたんだろうと思っているうちに10分ほど停車した後ようやく動き出した。どうやらこの電車、この駅で10分ほど停車することになっているらしい。

 到着時刻が遅れていることと、その駅に何分か止まらなければいけないこととは無関係。遅れていようがなんだろうか、停車している時間は守る。なんだか妙なところで義理堅いというか、融通が効かないというか、ちょっと不思議な体験であった。

 結局1時間ほど遅れて無事に帰ってくることが出来た。それなりに余裕を見ていたので、会議の時間にも十分間に合った。これが日本だったら「ひどい目にあった」と憤慨するところだが、「やっぱりイタリアはこうでなきゃ」と、なんだかようやく本当のイタリアに触れられたような気がして少し嬉しくなった。